今日で実習3日目
メスやハサミ、有鈎鉗子、ピンセットの使い方が上達してきました。
皮静脈や皮神経、脂肪層と筋膜の分離などもスピーディに行えるようになってきています。
さて、ここからが本番ですね!
前腕部の解剖を一気に進めます。
まずは前面のコンパートメントでまとめて把握しましょう。
手首の屈曲→第1層 2・3・5に停止
PIPの屈曲→第2層
DIPの屈曲→第3層
前腕の回内→第4層
手根管や手部は時間がかかるのでざっくりと剖出できたら標本で確認します。(本当はじっくりやりたいところですが)
術者が患者を把持する際、内在筋を優位に働かせることが手技を行う上で重要(手首を柔らかくできる)だという説明をしました。
後面のコンパートメントです。
表皮・皮下組織・脂肪層・筋膜・皮静脈・皮神経を確認。
其々の筋をフルレングスで剖出します。同時に神経・動脈を確認。
伸筋支帯と腱鞘のトンネル、M.Extensor Pollicis Brevis(短拇指伸筋)・M.Abductor Pollicis Longus(長拇指外転筋)との腱交差を確認。
標本で虫様筋と指伸筋の様子を観察しました。
昼からは、下肢の臀部から大腿部の解剖を行います。
鼠径部では、筋裂孔と血管裂孔を重点的に見ます。
Illacus(腸骨筋)とpsoas major(大腰筋)、臓器との位置関係を確認しました。
Arteria Femoralis (大腿動脈)を辿って、深大腿動脈が大内転筋を貫くところも確認しました。
大腿部の筋膜の厚さを確認したら
M. Tensor Fasciae Latae(大腿筋膜張筋)とTractus Illiotibialis(腸脛靭帯)の関係性を確認していきます。
大腿部の分厚い筋膜のなかに筋線維がある様子は見応えがあります。(断面が確認できる標本も作製してあります)
筋間中隔が分厚くなったのが腸脛靭帯と呼ばれるものになることの理解が出来たかと思います。
M. Quadriceps Femoris (大腿四頭筋)も皆様の想像とは違ったようです。
V. Saphena Magna (大伏在静脈)を切らないように剖出できている辺りが上達を物語っていますね。
大きな構造を確認したら、標本を使って機能解剖学的な説明に入ります。
筋骨格系に特化した、標本を作製してありますので、関節を動かしたときに筋の作用、靭帯がどのように制動するのかが分かるようになっています。
今のところ、肩・膝・股関節において関節部の解放の仕方が異なった標本が各2~3体づつあります。
インドネシア大学の人体解剖実習に参加される方の9割は臨床の先生方なので、機能解剖学を手で動かしながら確認できる標本は貴重ではないかと自負しています。
次に大腿部の後面に入ります。
構造物が大きいのでダイナミックに剖出できますね。
大腿後面のコンパートメントを確認していきます。
思ったよりM. piriformis(梨状筋)が小さかったことに驚かれたようです。
梨状筋下孔から出る坐骨神経と、上下のGemmelus(双子筋)とObturatorius Internus(内閉鎖筋)との立体構造の説明もしておきました。
股関節の手技療法のイメージがだいぶん変わったのではないでしょうか?
触診で中殿筋と梨状筋の判断も出来るようになったと思います。中殿筋に回旋作用はほぼありませんので、回旋で動くところとそうでないところを判断すれば触診の精度が高まりますね。内外転が及ぼす作用も確認できたと思います。
ハムストリングスの構造もきちんと確認できたようです。
この後は標本を使って機能解剖学的な説明に入りました。
股関節も膝関節も実際に標本を動かしながら、これまでの手技を再確認しましょう。
2回目以降の方だけが参加できるアドバンスドコースでは、関節の構造まで学ぶことが可能です。
皆様の今後が楽しみです!
3日目の夜は先生方と食事会を開催しました。
インドネシア料理のレストランです。
ノンアルコールでしたが、大いに笑って食べました。