僧帽筋という名称は、この筋が僧帽に似ていることに由来しているらしいが、ピンと来ないのは私だけではないはず。
ローマ法王ベネディクト16世の帽子
僧帽筋は扁平であり、しかもその各部分でいろいろと厚さが違っていて、上部がやや分厚いことが多いように思う。この筋は薄い腱をもって外後頭隆起から起る。更に短い腱をもって項中隔、 第7頚椎および胸椎全部の棘突起と棘上靱帯とから起る。下部の頚椎と上部の胸椎の範囲ではこの筋に1つのかなり大きい菱形の腱鏡Sehnenspiegelがある。この筋は下行(上部線維)、横走(中部線維)および上行(下部線維)する筋束をもって肩帯に向い、鎖骨の外側1/3 肩峰ならびに肩甲棘に付着している。
神経支配:副神経 頚神経叢
脊髄節との関係:C. II III IV. (頚髄の 2 3 4髄節)つまり頚椎でいうところの1-4のレベル
作用:上部線維は肩甲骨と鎖骨の外側端を引きあげる(挙上)。上肢の重みで肩甲骨が下方へずれるのを防止する。
中部線維は肩甲骨の椎骨縁を棘突起に方向に引き寄せる(内転)。肩を後ろに引く。
下部の線維は肩甲骨を下方に引くとともに上方回旋して、肩関節の外転を補助する。
上部線維は両側がはたらくときには頭を後方に曲げ、片側がはたらくときには頭を反対側の上を見るように回す。
変異について
筋の左右がわずかに非対称であることは、通常である。
筋起始の減少は,男性よりも女性に多く見られるらしい。極端に僧帽筋起始が減少している場合にはその上方はわずかにC. IVまでで、また下方はTh. VIII, IX, Xまでしか存在しない。鎖骨部を欠如することもある。
過剰筋束は、時にこの筋の上部の前縁に見られ、これを鎖骨後頭筋束Fasciculi cleido-occipitalesという。これが胸鎖乳突筋の鎖骨部に加わるのをみたことがある。この筋束は、しばしば頭蓋骨に付着しないで上位頚椎の肋横突起に停止し、特に環椎に終ることが最も多く、これを鎖骨環椎筋M. cleido-atlanticusというらしい。私が見たのは、三角筋や鎖骨下筋と結合していた。
魅惑の国 インドネシア
今回も「筋骨格系」に特化した人体解剖実習をインドネシア大学で実施します!
ご興味のある方はお早めにお問合せ下さい。
2016年8月開催分 参加申込受付中
http://ts-create.co/
医療系国家資格をお持ちの方 (その学生含む)
民間資格者の方 (その学生含む)