デモンストレーション初日 前編
いよいよ、インドネシア大学人体解剖トレーニングプログラムに向けて、インドネシア大学解剖学教室のスタッフと合同会社T’sCreateおよび日本人参加者の共同デモンストレーションの開催です。
スケジュール
10:00-12:00 The opening ceremony 開会式
12:00-13:00 Lunch Time ランチタイム
13:00-14:30 Dissection 実習
14:30-15:00 Coffee Break 休憩
15:00-17:00 Dissection 実習
今回は、学生、理学療法士、鍼灸師、臨床心理士、柔道整復師という職種で6名の参加者でした。解剖の経験者もいれば初体験の方々も居ました。
皆さん少し緊張した面持ちで、解剖室のドアを開けました。すると、なにやら雰囲気が違います。解剖を経験したことのある方ならお分かりいただけると思いますが、通常解剖室にはちょっと独特(ホルマリンやアルコール等)のにおいがあるんです。それが無いんです。無いどころか微かに良い香りが漂っています。本当に解剖室?と思ってしまうほど。
そして、解剖室の隣にある講義室に移動です。
まずは、インドネシア大学医学部解剖学教室室長のDr.isabella からの挨拶。英語&日本語です。
その後、実習概要の説明があり、良い点や改善点などお互いの技術や知識を交換し合って、8月の本番に備えましょうというものでした。
ここで数点ほど注意があります。ご遺体や標本には敬意を表すること。実習前後にお祈りをすること。実習着、マスク、靴のカバー、手袋等の着用。ご遺体や標本の写真撮影は禁止。解剖室内での飲食の禁止。これらを厳守します。
続いて皆で自己紹介をしました。氏名 年齢 職業 出身地 解剖経験 希望や要望 特技等を紹介しました。この段階で日本が大好きなインドネシア人スタッフから質問攻めに(笑)インドネシア大学のスタッフは、女性5名 男性8名です。この女性5名全員が男性スタッフの上司となります。なので一緒に実習をするのは女性スタッフだけになります。とてもスマートでフレンドリー&パワフルな先生方達です。 (後日写真をアップしますのでお楽しみに)
一通り終わったところで ランチタイム
ジャカルタ名物 ホッカホカベントー!!HokBen
日本のほか弁に、インドネシアの辛いサンバルソースを添えた感じです。違和感はまったく感じません。
昼食後はいよいよ解剖実習開始です。ここからは写真撮影できませんので文章での紹介になります。
女性のご遺体1体を6名+4名のインドネシア大学スタッフで解剖していきます。
pray begin 始める前にお祈りをします。
右上肢グループと左下肢グループに分かれて皮切りから開始します。ココで大きなどよめきが出ました。
なんとご遺体の関節が動くのです!!
何のことかわからない方がほとんどだと思いますので説明致します。
通常、解剖で使用するご遺体には関節の可動性はほとんどありません。しかし、今回は肩関節が外転60度、屈曲60度程度までの可動性があるのです。膝関節は20度程度屈曲しますし、股関節も30度程度は屈曲します。何も手をつけていない状態でこうですから、これには正直驚きました。動画で伝えることが出来ればよいのですが、残念ながらサイトに掲載することは出来ません。これを目にして、今までになかった動きを伴った筋骨格系の解剖に挑戦できるのではないかと思いました。しかもこのご遺体は3年間ホルマリンプールで保管されていたもので、しっかりと固定処置がなされています。それを特別な処理をすることでこんなにも柔らかくなったそうです。もちろん柔らかくても防腐処理はきちんと施されておりますのでご安心ください。運動器の解剖に興味のある方、また関節の動きを見ながらの解剖を経験してみたい方、こんな解剖をやってみたいというアイデアがある方、心よりお待ちしております。インドネシア大学で一緒に勉強しましょう!
それではスタート!
まずは皮神経や皮静脈を観察します。最初は厚く剥いでしまうので、途中から広頚筋の剖出を兼ねて表皮だけを剥ぐ練習をしながら行いました。道具は十分に揃っていました。皮切りには大きくて鈎のついた鉗子があると便利と思ったので、次回は用意していただきます。そうこうしている間にあっという間に90分が過ぎました。まだまだ皆さん遠慮してコミュニケーションが進んでいない様子でした。初めてのときはココで時間がかかってしまいますが、まだまだ始まったばかり、ゆっくりと、あせらずに行きましょう。
それでは最初のcoffee Breakに向かいましょう。