ブログ

2016.05.05

背筋 Musculi dorsi 背部にあって上肢に関するもの 広背筋M. latissimus dorsi.

広背筋M. latissimus dorsi.

 これは比較的薄い筋で、直角三角形の形をして背の下部を被っている。この筋の上部は僧帽筋に被われており5~7胸椎の棘突起、腰背筋膜および10~12肋骨、腸骨稜の後部から起る。筋線維は、横及び外側上方に向い肩甲骨下角を越えて上腕骨に向って走り、扁平な腱となって大円筋の下縁を包むように180度ねじれて、前方に回り小結節稜に付着する (図2 図3参照)

背部 浅層アトラス (560x800)  図1 解剖学カラーアトラス
広背筋 大円筋 上部 図2 広背筋が大円筋の前面に回りこむ様子 後方から
広背筋 大円筋 上部 図3 広背筋が大円筋の前面に回りこむ様子 前方から

 上部筋束は横の方向に走るが、それ以下の筋束は下方から起るものほど斜め上方に向い、肋骨から起る外側の筋束は最も強い傾斜をなしている。肩甲骨下端を越えて走る部分は、広背筋膜が棘下筋膜と結合することにより、筋の上縁はわずかにS状の弯曲を示す。肋骨からの起始部は、外腹斜筋下部の鋸状部と噛みあう。

 

 筋の上部の横走部は、肩甲骨下角を越えて走るが、この部分には肩甲骨に始まる筋束が見られることが非常に多い(これを肩甲骨部Portio scapularisとかPars scapularis、副頭ともいう)。

・肩甲骨に始まる部 Pars scapularis
・肋骨や棘突起に始まる部 Pars costalis
・腸骨に始まる部  Pars illaca
このように見ると大胸筋とか大殿筋と対称性や類似性がありそうな気がしてきますね。
広背筋が肩甲骨下角の移動に追随するカラクリ、これは解剖実習で説明します。
広背筋 3つの分類図4

 

 外腹斜筋後縁、 広背筋前縁および腸骨稜の間にはしばしば筋質を欠く三角形の部分が見られ、内腹斜筋がその底をなしている。この三角形の部分は、腰三角Trigonum lumbaleと呼ばれる。

背部 浅層 (562x800) 図5

 神経支配:胸背神経

 脊髄節との関係:C. VI,  VII,  VIII.

 

 作用:この筋は挙上した腕を下方に、また垂下した腕を背方および内側方に引く(伸展・内転・内旋)、上方の筋線維は肩甲骨を胸郭に圧迫する。肋骨からの起始部は、腕を固定した場合には肋骨挙上の補助筋としてはたらく。上腕三頭筋との組み合わせにより強力な内転作用となる。

 

 変異について:個々の筋束に分離することがある。棘突起、腸骨稜および肋骨における筋起始の欠如あるいは増加がありうる。腰三角の形は、この筋が腸骨稜から起るぐあいによって異る。肩甲骨下角から出る副筋束は、大体いつも見られる。広背筋停止腱は、大円筋の腱と分けられないことが多い。過剰筋束としては、広背筋の外側縁において非常に不定であるが腱性あるいは筋性の索が7~8%に見られる。これは広背笏の外側縁から分れてでて、腋窩を超えて、多くは大胸筋腱の後面に終るが、また他の場所にも停止することがある。この筋束に対してランゲル腋窩弓“Langer-scher Achselbogen”という名称を用いる。

 

 他の副筋束としては、長肘筋M. anconaeus longus(Henle)、または広背顆筋M. latissimocondyloideus(Bischoff)とよばれるものがある。これは約5%に見られ、広背筋の腱または筋腹に始まり、上腕筋膜、上腕三頭筋、上腕骨に終り、なお遠く前腕の筋膜にも停止することがある。



 

魅惑の国 インドネシア
今回も「筋骨格系」に特化した人体解剖実習をインドネシア大学で実施します!
ご興味のある方はお早めにお問合せ下さい。

2016年8月開催分 参加申込受付中
http://ts-create.co/


医療系国家資格をお持ちの方 (その学生含む)
民間資格者の方 (その学生含む)

 

  

Facebook

 
ページの先頭へ
Copyright © 合同会社T'sCreate All Rights Reserved.